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チームのチカラ

【INTERVIEW】青島未佳/一般社団法人チーム力開発研究所理事

2021.8 老施協 MONTHLY

「チーム力」が求められる介護の現場。今回は、組織づくりやリーダーシップの研究を続ける一般社団法人チーム力開発研究所理事の青島未佳さんに、良いチームをつくる際のあるべきリーダー像などについて聞きました。


「意見を聴く耳」と「ビジョン」を併せ持つリーダーが強いチームをつくる

強いチームをつくるリーダーシップ サーバント:メンバーの力を引き出し、メンバーを成長させる ビジョナリー:大義あるビジョン・ミッションを示す

リーダーをフォローする体制を整えることが大切

良いチームづくりのために必要なのは、①組織の目的や目標の共有、②スタッフ間の相互協力、③心理的安全性+コミュニケーション——という3つの条件だということが研究からわかっています。
①組織の目的とは、企業の創業者などが打ち出す組織の理念や存在意義のこと。それを踏まえたうえで、②スタッフが協力し合うことが重要です。そして、①②を安定的に続けていくために、③心理的安全性とコミュニケーションがベースになっていなければなりません。
心理的安全性とは「組織・チームのなかで対人リスクを恐れず、考えを気兼ねなく発言できるという信念が共有されている状態」で、最近注目されている考え方です。それがあることで円滑なコミュニケーションが生まれ、チームとして連携ミスが減ったり医療過誤や不正防止につながるなどの効果が期待できます。
では、これらの要素をうまく発揮できるリーダーシップとは、どのようなものでしょうか。私はまず「サーバント(支援型)リーダーシップ」が重要だと考えています。これは、リーダーがスタッフの意見を聴く耳を持ち、彼ら・彼女らからのフィードバックを吸い上げようとする姿勢を表しています。一方的に指示するばかりでなく、スタッフからあがる課題や意見に寄り添おうとする細やかな気配りが大切です。加えて、組織が向かうべきビジョンの共有に努める「ビジョナリーリーダーシップ」も不可欠です。スタッフの話を聴くだけでは、向かうべき方向性に迷いが生じることもあります。この2つの要素をバランス良く兼ね備えていくことが、リーダーのあるべき姿だと思います。
とはいえ、人手不足の深刻な介護業界では、忙しいあまり、聴く姿勢を持ちにくい現状もあるでしょう。そのような場合は、できるだけリーダーをフォローする人を置くことが重要です。リーダーに時間と心の余裕ができると、ポテンシャルが存分に発揮されるはず。たとえば、大手飲食チェーンなどが店長を補佐するスーパーバイザーを本部に置くように、介護業界でも現場リーダーを経営層や管理者が体制面でサポートしていくことが求められているのではないでしょうか。

一般社団法人チーム力開発研究所理事 青島未佳

「ファシリテーター」として人と人をつなぐ

介護現場では、「利用者さんとスタッフ」「スタッフ同士」など人間関係のトラブルが大きな課題だと聞いています。対処法としては、リーダーが各々の意見を聞くだけでなく、自身がファシリテーター(会議や話し合いなどがうまく運ぶようにする舵取り役)として、当事者が話し合う仲介役を果たすことをお勧めします。
そうすることで、トラブルを単に処理するだけでなく、「課題を乗り越え、より良い組織をつくるために考える」ところまで発展できれば理想的。ファシリテーターというと、「難しそう」と戸惑う部分もあるかと思いますが、特別な技術が必要なわけではなく、つたなくても構わないので“心を込めて想いを伝えていく”ことが大切です。介護職の方はみんな、こうした技術を備えていると思います。

一般社団法人チーム力開発研究所理事 青島未佳

あおしま・みか
一般社団法人チーム力開発研究所理事・九州大学大学院人間環境学研究員/学術共同研究員。
慶應義塾大学環境情報学部卒業、早稲田大学社会科学研究科修士課程修了。日本電信電話株式会社に入社後、アクセンチュア株式会社、デロイトトーマツコンサルティング株式会社、株式会社産学連携機構九州(九大TLO)・障害者福祉施設わごころの立ち上げなどを経て、2019年3月より現職。組織・人事領域全般のマネジメントコンサルティングを手がけ、九州大学ではチームワーク研究や組織づくりを主軸とした共同研究、コンサルティング、研修・講演などを行う。著書に『高業績チームはここが違う』(共著、労務行政)