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介護報酬改定への対応 ①

2021.8 老施協 MONTHLY

「導入状況調査」を実施
LIFE活用に向けた課題と対応

厚生労働省がさまざまな加算の要件とするLIFE(科学的介護情報システム)登録だが、一部に登録の遅れも見られる。全国老施協が実施した「導入状況調査」の結果から明らかとなった現状と課題などを紹介する。

科学的介護情報システム(LIFE )導入状況調査

「データ入力の問題」を課題とする回答が上位

厚生労働省は令和3年度から、高齢者の状態やケアの内容等データ収集システムであるCHASEとリハビリテーションの情報を収集するVISITを統合し、「LIFE(科学的介護情報システム)」の運用を開始した。
LIFEは、介護施設・事業所がPDCAサイクルを推進し、ケアの質の向上を図る取り組みを実施するツールとなる役割が期待されている。すなわち、計画書等を作成してケアを実施し、データを送信し、フィードバックを受けることで利用者の状態やケアの実績の変化等を踏まえた計画書の改善等を行うというものだ。
全国老施協はこのほど、LIFEの導入状況および課題を把握するため、「科学的介護情報システム(LIFE)導入状況調査」を実施した。導入状況調査の主な結果は、図表1〜図表7の通りとなっている。
「LIFEへの『ユーザー登録』の状況」については(図表1)、登録が完了した施設は83.3%。一方、「完了していない」または「当面は登録しない」と答えた施設は、10.1%あった。

図表1 LIFEへの「ユーザー登録」の状況

「『介護記録ソフト』のLIFEへの対応状況」については(図表2)、全体の77.0%が「対応している」とし、おおよその介護記録ソフトがLIFEに対応していることがわかった。「LIFEに対応している『介護記録ソフト』の状況」については(図表3)、41.4%の施設が「一括でデータ提出が可能」(手入力は不要)と回答している。

図表2 「 介護記録ソフト」のLIFEへの対応状況(n=2,555)
図表3 LIFEに対応している「介護記録ソフト」の状況(n=1,967)

一方、「LIFEの活用において『課題』だと感じている点」を調べたところ(図表4)、「手入力でのデータ入力作業の負担が重たい」「LIFEに入力するための体制を整えるのが難しい」「LIFE記入項目に対する実地指導等への不安」などの回答が多かった。
「LIFE対応加算の『データ提出』の状況」については(図表5)、「期限内に入力できる」と回答した施設が56.6%。「期限内に入力できない」と回答した施設(23.0%)でも、「時間外労働をすれば対応できる」との回答が56・4%あった。半数以上の施設が、時間外労働をしてLIFEへのデータ登録に対応する実態がうかがえる。

図表4 LIFEの活用において「課題」だと感じている点(n=2,555)
図表5 LIFE対応加算の「データ提出」の状況

「LIFE対応加算の算定状況」については、図表6の通りとなっている。
本調査において、LIFEにデータの入力を行う負担や、データ提出に係る提出頻度や情報の内容など、煩雑な情報の整理が難しい実態が明らかになった。このような実態をなくすためには、LIFEの導入や活用をするうえでのわかりやすく正確な情報が必要であるとうかがえた。

図表6 LIFE対応加算の算定状況(n=2,555)

加算取得に向けて「入力期限の延長措置」に留意

LIFEに対応した加算を算定するために必要となるデータ入力の期限をめぐっては、システム対応上の問題などから、大きく分けて2種類の「データ入力期限の延長(猶予)措置」が設けられている。
一つは、LIFEに対応した介護記録システム等を導入するために時間を要するなどの事情に配慮したもので、それを整理すると図表7の通りとなる。もう一つは、利用申請に係るハガキの送付遅れや、厚生労働省のヘルプデスクの対応の遅れなどで利用にあたっての問題解決ができずに期限までにデータ提出ができなかった場合の延長措置で、これについては今年8月10日が期限とされた。

図表7 LIFEへのデータ提出の猶予期間(3月16日厚生労働省通知による経過措置)

延長措置の適用を受けて加算を算定しながら、8月10日までにデータ提出ができなかった場合は、算定済みの加算について遡って過誤請求を行うことが必要となるので、確認しておきたい。
なお、5月10日までにデータを提出した施設・事業所へのフィードバックは6月22日から開始されているが、初回のフィードバック情報は経時の比較ができないことから、暫定的な形式にとどまっている。
新たにスタートしたこともあり、LIFEの活用に対して不安を覚えている施設・事業所も少なくない。全国老施協は今期の重点事項の一つに「介護報酬改定への対応」を掲げており、その一環として、すべての会員に対し、令和3年度介護報酬改定の内容の周知と各種加算の取得支援を行っていく。LIFEについても、都道府県等老施協とも連携し、ニューズレターや本誌などでの情報配信や解説資料の提供、各種セミナーの開催、動画提供などで登録や関連加算の取得を支援していく。ぜひ、これらのサービスを利用していただきたい。


<最新情報Q&A>

LIFE導入状況調査でいただいたご質問に対して、全国老施協から厚生労働省へ照会を行い、回答があったものについて、ご紹介します。

Q 科学的介護推進体制加算Ⅰ、Ⅱについて、全利用者の入力が必要との記載があるが、全利用者の入力を一月で完了させ、半年後に全員の入力が必要なのか?

A たとえば、利用者が100人いる事業所において、4月に50人の評価を行いLIFEに情報を提出し、5月に50人の評価を行いLIFEに情報を提出した場合、加算の算定が可能となるのは、5月からとなります。この場合、4月に評価した50人については、次の評価は10月となり、5月の50人については11月となります。何回かに分けて、評価とLIFEへの情報登録を行った場合、加算の算定が可能とのなるのは、全員分を提出してからとなります。

Q サービス利用停止(死亡等)の場合も翌月10日までに提出をする必要があるが、ADL等の評価は亡くなる直前の評価をして、評価日を記入すれば良いのかなど、急に永眠された場合にはどのように記入すれば良いか?

A LIFE活用が要件となっている加算を算定するのであれば、亡くなられた方についても評価は必要となりますが、亡くなられてしまい評価が不可能となってしまった場合には、入力は不要となります。そのため、亡くなる直前に評価されている場合には、その評価内容の提出をお願いします。
LIFE関連加算の取得や制度についての回答につきましては、全国老施協HP「LIFEがよくわかるQ&A」に随時掲載して参ります。

・LIFEがよくわかるQ&A

・LIFE活用ポータルページ

LIFEの利活用については、下記の手引きもご参照ください。
「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き」(株式会社三菱総合研究所、厚生労働省老人保健健康増進等事業)